第7章 悶々ガーネット【N×S】
【ニノ】
翔ちゃんは、話しながら百面相をしてた。
甘い思い出に浸ってたかと思えば、
言い過ぎたか、と俺をチラチラ見てキョドったり。
大野さんの事、分かんないとか
宇宙だとか、
しかもさりげなく、しれっと、
夢中だったとか、言ってくれたよね!?
顔には出さなかったけど、
ちょっと悔しかったから、
『翔ちゃんがニブチンだったから』
な~んて…少し意地悪しちゃった…俺
案の定、ショック受けたみたいで、
自分の何が鈍かったのか?
自分は何に気付けないでいたのか?
ぐるぐるしてたみたいだけど…
今更、翔ちゃんになんか、分かんないって!!
↑やっぱり面白くなかったのね~(^^;
大野さんは、
翔ちゃんに言えないまま抱かれてて、
その矛盾から逃げる様に別れちゃったけど、
案外…いや、絶対!
翔ちゃんは、そっちの才能、かなりあるよ~
自分だってうすうす感づいていたのにさ。
後から羨ましがっても、もう遅いからね!
いつか大野さんに言ってあげたい。
相手のことを想いやって自分を殺して側にいる…
それよりも、その人が気付いていない本質に
気付かせてあげることも、
恋人としては、大切な役目なんじゃないの~?
ってね……
俺が……
翔ちゃんに教えてあげるんだ。
翔ちゃん自身が、本質的に望んでいる、
自分のあるべき幸せの姿に…
そうこうしているうちに、約束の居酒屋についた。
翔ちゃんちの目と鼻の先…
これって、もしかして…
大野さんの、策略?
いや、配慮??
まあ、いけそうだってなったら、
翔ちゃんにあれこれ悩んでる時間与えずに
ホールドに持ち込める距離ってこと…
そうでしょ??
ほ~らね(^^;
翔ちゃんには悪いけど、
俺の方が大野さんのこと、
何気に理解しちゃってるんだよね~
入り口で、またしても、
うじうじ考えてもたついてる彼の腰を引き寄せ、
俺は二人が待つであろう
店の引き戸を開けた。