第7章 悶々ガーネット【N×S】
そこで俺は、大野さんに聞いてみたかったことを切り出した。
「じゃあ、大野さんはさ~、気付かなかったの?翔ちゃんの…その~…可愛いところ?」
「気付いてたよ。あの人ホントは受けだよね?
自分では全然気づいてないけど…」
分かってたんだ…分かってたのに…なんで…?
「で?ニノ、翔くんとセックスは?」
「せっ、セックスって///」
「まだなんだ~…じゃ、気付かせてやってよ!
あの人の本質を…俺には出来なかったからさ~…」
その時分かった。
大野さんは、翔ちゃんを傷付けたくなくて、
何も言わずに別れたんだ。
そのくらいに…翔ちゃんのことが、大切だった…
「あの、このこと、翔ちゃんには…」
「言わないでイイよ、今更だし。
ニノには、俺と同じ失敗をしないでもらいたかったんだ…だから話した」
大野さんは、そう言って
この日一番の笑顔を見せた。
折角だし歌うか~♪
なんて言いながら大野さんが入れた歌は、
『雪国』
この時期に、雪国…って。
しかも、誰の歌だよ~?
…………
つ~か。
すげ~、上手いじゃん///
そん所そこらの歌い手さんより、
この人の方が上手いんじゃないかな?
ほんとに、この人って、読めない……
大野さんの歌う、『雪国』を聞きながら、
俺はさっき聞いたことを、
もう一度頭ん中で整理していた。
大野さんは、翔ちゃんを抱きたかった。
でも、言い出せないまま抱かれていた。
そして、潤さんがあっさりと抱かれてくれたから、
そっちに乗り換えた。
「…追いかけてぇ~♪追いかけて~…
お~いかけて、雪ぐぅにぃ~♪」
大野智……
思ってたより、ちゃんと考えてる人なのかも…
大野さんの澄んだ歌声を聴きながら、
俺は翔ちゃんの屈託のない笑顔を思い出していた。