第7章 悶々ガーネット【N×S】
【ニノ】
それにしても、思い出すのは、
翔ちゃんが放つ、強烈な色香と、
彼の瞳の中の怯えの色……
どう見ても攻めの俺に、
もしかして気付いた……かな?
もう……………
我慢できなくなってきたのは、俺の方だ…
憧れて止まない『櫻井翔』の恋人という立場に昇進して、それだけで満足だったのに…
人間は満たされると、また次の欲が出てくるんだな~
例に漏れず俺も。
だけど、自分が攻めであるという固定概念でガチガチの翔ちゃんに、どうしたらいいのか分かんないでいた。
だからさ~、
結果焦らすような形になっしまっていたけど。
実際翔ちゃんもそう思ってたのかな?
で。
今回仕掛けてみて分かった。
あの人は『受け』、いける…
しかも、かなりの才能を秘めている。
今度はもう、我慢できないかも、俺…
「お疲れ様で~す」
「おお、お疲れ~」
「今日は暑い日でしたね~」
「ホントに。少し動けば汗だくですよ」
この日は午後に研究授業があって、
夜はそのまま懇親会になった。
懇親会の方は、余り乗り気じゃないけど
新人だし、断るわけにもいかず参加を決めたけど。
…はあ~、翔ちゃんもいないし、
早めに切り上げて帰ろっと…
そう。
翔ちゃんは福岡に出張で出掛けていた。
適当に抜け出しやすい端っこの席に座り、
おしぼりを広げると、
「おつかれ~♪」
「…大野さん…」
隣の席に、大野先生が座ってきた。
「隣、いい?」
「いいって、もう座ってるじゃないですか~」
「ははは、ホントだ…」
「いいの~?こんな隅っこで…」
「大野、先生こそ…」
「俺は直ぐにこっそり出られるようにさ~」
(・_・;)……同じ魂胆かよっ///
乾杯の前に係の先生たちが挨拶をしている。
その間も、眠そうに大きなあくびをしたり、
首を回したり、不真面目すぎるよ、この人…