第7章 悶々ガーネット【N×S】
男っぽいんだけど、
何だろう??
何とも言えない色気と、
母性を刺激する魅力を兼ね備えてて…
……俺…俺、翔ちゃんが…欲し……
「ニノ?」
「………」
「ニノ!」
「えっ?」
「何考えてたの?」
「何って…別に…」
また翔ちゃんは、じっと俺を見つめた。
そんな目で見られると、言わなくていい事も全部、
言っちゃいそうになるから…
「お、俺、部活締めて来なきゃ!
男子の方も心配しないで!
片付けたら迎えに来るから、寝ててね!」
「うん…悪いね…」
ベッドに横たわった、
いつになく儚げな恋人を置いて、
俺は保健室を出たところで
思いがけない人と出くわした。
「おお、ニノ」
「お、大野さん…」
「翔くん、倒れたんだって?」
「なんで、それを?」
「美術室の窓から見ていた生徒がさ、
テニスコートが大騒ぎになってるって言うから。
聞いたら、翔くんが倒れたっていうからさ…」
「…そう…なんだ…」
「翔くん…中にいるの?大丈夫?」
「…うん、もう気がついたし…」
「そっか。ちょっと顔見てくるよ」
えっ……(;・∀・)
戸惑う俺を振り返りもしないで、
大野さんはドアを閉めてさっさと保健室に入っていってしまった。
………もう、保健の先生、帰っちゃったし。
中には翔ちゃん一人なのに……
………………(# ̄З ̄)
もう彼氏でもないのに、
そんな、急いで駆けつけなくたってさ。
しばらくの間、
大野さんが消えたドアを見つめていたけど
また戻るのも変だし……
俺はテニスコートに戻った。
……………まあ、何もない、よな……
ざわざわする気持ちをぐっと押し込め、
「はい、今日はここまで〜」
そう声を掛けると、
『はい!!』
元気な子どもたちと声が答えてくれた。