第1章 魅惑のルビー【S×O】
「じゃ、お疲れ~っした!」
「お疲れ~、翔ちゃん!」
「また明日~」
「頑張ってね~♪」
3人に見送られて、部屋を出ると、
直ぐに智くんも後から着いて来た。
一瞬横に並んだけど、俺が速足で目も合せないから、
ショボンと項垂れて、後ろになって着いて来た。
こんなに俺にされても、ちゃんと着いて来るあたり、
ほんと、可愛いペットみたいだよ。
ふたりでマネの運転する車に乗り込んだけど、
最初っから、俺は目を閉じて寝てしまい、
まあ、振りなんだけどさ…
智くんは所在なさげに携帯弄ってるから、
マネも気を使って声もかけて来なかった。
車は、あっという間に俺のマンションの駐車場に滑り込んで停車した。
「櫻井さん、明日は午後からです!
大野さんは明日はオフで~す!!」
「「オッケ~!」」
こんな空気でも、しっかり声はシンクロした。
二人だけで乗り込んだエレベーター…
堪え切れなかったんだろうね~、可哀想に…
智くんがおずおずと声を掛けて来た。
「あの…翔ちゃん…」
俺に一瞥されて、口を噤んだ。
「智くん…今夜は…分かってるよね?」
……俺に言われ、彼が息を飲む音が聞こえた。
そうだよ///
怒ってる訳じゃない。
ふたりの関係がどうなるもんでもない。
たださ。
このままって訳にはいかないよね?
俺の腹の虫が収まらない…
シゲに見せた、シゲに聞かせた、
それ以上のあなたを、見せてもらうからね…今夜は…
さあ、エレベーターが止まったよ。
死刑台へのカウントダウンが始まったんだ。
『準備はいいか~??』
どこからか、円陣の中心で叫ぶ、松潤の声が聞こえて来た。
ニノから手渡されたグレーの袋…
その中身を、俺たちはまだ知らない…
それは…
それは…袋と同じ色した、
綺麗な羽ペンだった。