第6章 青春のシトリン【N×S】
【ニノ】
俺は、屋上から空を見ている。
真っ青な空に、白い雲が、
ゆっくりと東へと流れていく様を。
……………いや。
正確には目には映ってはいるけど、
見ている訳ではない……
考えているんだ。
この想い、伝えるべきか、否か…
その事について
さっきからずっと、
自問自答を繰り返しているんだ。
贔屓目に見ているのかな?
…あの人…俺のこと……(´-ω-`)
珍妙な朝食をこさえて、
照れ笑いするあの人の顔が、
頭の中でぐるぐるしている……
青春を謳歌した!と言いきっても過言ではない
学生生活の4年間…
そのうちの2年間、
俺は櫻井翔の隣に居た。
正確にはあの人がいない時…
そこは俺の指定席だった。
あの人……
大野智という恋人を、隠すこともしない翔ちゃん
不思議なんだけど、
所謂ゲイカップルの二人を
悪く言う人はおろか、
おかしな揶揄や噂さえ聞いたことがない。
彼は男だ。
もちろん、翔ちゃんも俺も…
本来俺は女の子が好きだ。
……好きだと思う。
だって、高校時代、
興味本位の軽い気持ちで付き合った女の子と、
そういう行為もした。
ちゃんと勃ったし、最後までいった…
守ってあげたい華奢な肩も、
ふわふわした甘い匂いも、
柔らかいマシュマロみたいな胸も…
ま、それはこの際どうでもいい。
とにかく、元々どうしても男が好きな訳じゃない。
『櫻井翔』という人間に惹かれ、
……もう、どうしようもなく惹かれ…
そして気持ち悪いくらいにずっと、
片想いを貫いて来た。
彼のことが好きになってからは、
言い寄る女の子も男も、
↑男もいたんか~い(^^;
一切なびくことも無く、
『櫻井翔』一筋だった。
大好きだった…
でも彼の隣にはあの人がいたから…
諦めていたんだ…
俺の入る余地なんかない…って。
そのくらいに
二人は揺るぎない関係に見えたから。