第1章 魅惑のルビー【S×O】
…という思いが天に届いてしまったのか
局の廊下で後ろから伸びてきた腕に
フワリ…と肩を抱かれた。
力なくそっちを見ると
同情たっぷりの顔をした相葉ちゃんが
「おーちゃぁん…どーすんの?」
眉を下げて泣きそうになってる。
なんで相葉ちゃんがそんな顔すんだ…
「翔ちゃん、絶対に怒ってるよぉ?」
「…う、うん…」
「なんであんな展開になったんだよ…」
反対側からは松潤が呆れた声で
腰に手を回してきた。
「そ、そりゃ…成り行きだろ…」
前を歩く翔くんとニノの後ろ姿を見ながら
なぜか焦って二人に説明してる自分が
なんとなく情けなくなってきたけど
「成り行きっつっても…」
「ありゃ、やりすぎっしょ…」
両脇から二人に寄り添われて
充分後悔してることを啄かれて
「どうやって翔ちゃんの怒りを鎮めるのぉ?」
「今夜はお仕置き決定だな♪」
ちくしょー!
言いたいこと言いやがって!
そんでお前ら…
俺のことベタベタ触んじゃねぇ…
更なる疑惑が生じたら
どーしてくれるんだ…っ
そう思ってハッと視線を上げたら
ちょうど廊下の曲がり角に
さしかかった翔くんが…
チラリ…と俺のことを見て。
そしてフイっと
曲がって行ってしまった。
どわぁぁぁっ…Σ(゚ロ゚;)
み、見られたっ!
ベタベタされてるとこ…見られたっ!
「あ~あ…見られちゃったね♪」
「ごめんごめん、俺としたことが♪」
ニヤニヤしながら二人が俺を離す。
「お前らぁっ!…わざとだなっ?」
さっきの相葉ちゃんの顔は演技かよっ…
立ち止まって睨みつけると
二人は笑いながらホールドアップした。
「酷いなぁ…そんなことしないよォ♪」
「落ちてる大野さんを慰めただけじゃん♪」
くそうっ…皆して揶揄いやがって!
さすがにイラッときて
「別に落ちてなんかねぇし…っ
仕事を全うしただけだし!
誰にも文句なんか言わせねぇよっ」
思わず拳を握りしめて叫んでいた。
…そして、すぐに我に返った。
曲がり角の向こうの
すぐのとこにある楽屋のドアが
…バタンッッ!
すごい音を立てて閉まった……
ひぃぃーん………か、神様ぁ………