第6章 青春のシトリン【N×S】
手の感覚がなくなるくらいに冷やされた腕。
でも…
腕がちぎれそうに冷たいけど、
だけど…ちぎれてもいいから、
ずっとこのままでいたいって……
「もう、大丈夫かな~?」
俺の願いも虚しく、翔ちゃんは、
水を止めて俺から離れた。
「うん…ありがと…」
翔ちゃんが離れていった背中が急に寒くて…
「一応さ、明日病院行った方がイイかな~?」
「大丈夫、このくらい…」
「ダメだって!痕が残ったら大変だろ~?」
「翔ちゃん、相変わらず、心配性だな…」
そんなこんなで。
ちょっと焦げちゃった生姜焼きを皿に盛りつけたのは翔ちゃん…
ただ盛るだけなのに、
センスの欠片さえ感じない…(・_・;)
でも…
なんだか…
重なった生姜焼きの豚肉さえ、
愛しいと思ってしまうのは、
重症なんだろうか?
「あ、ビール冷えてるんだ…
翔ちゃん、飲むでしょ?」
「おお!いいね~(^^)
ニノの女テニ顧問就任祝いな🎵」
「え~…まあ、そっか…」
缶のまま軽く乾杯してから、
少し焦げ臭い生姜焼きを食べた。
「あ、うめっ!ニノ~、味付けバッチリだよ!」
「でも、ちょっと焦げ臭いかな~」
「全然!気になんないよ~!
香ばしくって味に深みが出た感じ🎵」
……翔ちゃん…俺が気にしないように、
そんなこと…
こんなの食べさせることになっちゃったけど、
さっきのキッチンでのこと…
なんかちょっと…
いや、かなり嬉しかった(*^^*)
「毎日来ちゃって、なんか俺、図々しいやつみたいじゃん!」
「だって、今日はが誘ったんだし…
一人で食べるのも味気ないから、よかったら毎日来てよ~」
「え…」
あ、
言ってしまった///
そんなこと言われたら、迷惑だよな…
「でも、ニノ、友達とか、
その…彼女、とか…あ、まあ、彼女じゃなくてもほら、女友達の一人や二人、来ることだってさ〜…」
「……そんな…ここに来る女友達とか…
そんなの…いないし……」
翔ちゃんが、じっと俺を見つめた…
え?な…なに??