第6章 青春のシトリン【N×S】
「ま、こっちの顧問も…男子に人気だよねぇ♪」
ぼんやり考え事をしていた俺の肩に
相葉さんの腕がノシッと回される。
「…へ?」
「『へ?』じゃないから(^^;
…ったく…どーしたもんかね、この鈍チンさんは」
…鈍チン、さん?
…なんのことだ?
「翔ちゃん、今さ…毎日の生活の中で
一番楽しいなって感じることって…なぁに?」
「た、楽しいこと~?…うーーん…何かなぁ…」
…マジで…なんだろ?
改めて聞かれると~…
即答できなかったりする。
なんだよ~…俺って寂しい男だったのか(・・?
「今年から…担任持たせてもらってるから…
真剣にクラスの子たちと…向き合うこと?かなぁ…
あ、もちろん…このテニス部を強くすることも…!」
とりあえずココ最近
頑張ってやってこ!って思ってることを
一生懸命考えながら話してみた。
「むふ~(≧∇≦*)ヴィジュアルに似合わず
案外マジメなんだよね~翔ちゃんは!マジメすぎ!」
相葉さんはカラカラと笑いながら
俺の背中をバシバシぶっ叩いて離れていく。
「もっとこう…軽ーく…ヽ(≧∇≦*)ノ♪♪
人生をエンジョイしちゃう感じでいこーよ!」
エンジョイ、ねぇ…(・・;)
できてないかな、俺……
「もっと緩ーく…心を開く感じで…
そうするとさ~?今まで見えてなかったものが
見えてきたりすると思うんだよね~(≧∇≦)b」
例えば前方11時の方向に……って
相葉さんが言ったような気がしたんだけど。
「コーチ!すみません、お願いします!」
「翔さん!サーブ、つかみかけてきました!
ちょっと見ててください~ヽ(*^^*)ノ」
俺らは別々に呼ばれてしまって
結局相葉さんの言いたかったことは
ウヤムヤになってしまった。