第6章 青春のシトリン【N×S】
【ニノ】
さっさと帰っていった…あの人。
散々俺の心に土足で入り込んで、
踏み荒らしたくせに、
何事もなかったかのような涼しい顔して……
あ……
そうだ!彼氏って……そう言ってたよな?
翔ちゃん振って、そっちにいった、
という、確かいわく有りのヤツだ。
翔ちゃん振ってまで選ぶ位だから、
相当かっこいいんだろうな〜(`Δ´)
次々沸いてくる思考に追い付けず、
片付けの手が止まっていた俺に、
「なんか、食いに行くか〜?
俺、なんか腹減ってきちゃったかも…
スーパー銭湯で汗流してぇ〜、それから…」
話し続ける翔ちゃん……
「えっ?あ…うん…じゃあ、そうす……
あっ!!やっぱ止める!」
「なんだよ〜、なんなら割り勘でも……」
「うんん、そうじゃなくって!
銭湯はまたにしてさ!
俺が作るよ!だから、一緒にここで食べよ」
「ニノ、作れるの〜?」
「大したものは出来ないけどね。」
俺の言葉に、にっこり笑った翔ちゃんは、
「じゃ、期待しないで待ってるよ…」
と言った。
よ〜し!!
頑張って作っちゃうもんね♪
『男心を掴むにはまず、胃袋掴め』
そう言いながら、母ちゃんが姉ちゃんに料理を教えてた。
言ってることがなんかレトロじゃね?
と思いつつも、
俺も側で見ているうちに、
自然といろいろと覚えていった。
今日はその中でも一番自信ありのハンバーグ。
引っ越しの時に父ちゃんが、
いい肉が手に入ったから、って……
挽き肉を置いていったから、それを解凍しておいたんだ。
ぐっじょぶ♪♪俺( v^-゜)♪
気合い入れて作っちゃうぞ!
「じゃ俺は、このダンボール片付けちゃうよ!」
「うん、お願い〜♪」
あの箱には、いかがわしい系は入ってないから、翔ちゃんにやってもらっても平気だし…
手際よくハンバーグと平行して、
コーンスープとサラダも作っていく。
いつの間にか、
片付け終わったらしい翔ちゃんが、
側に来て、ハンバーグを捏ねる俺の手元を覗き込んでいた。