第6章 青春のシトリン【N×S】
【ニノ】
なんだか変な二人と、
社会人一年生をスタートさせる記念すべきこの部屋で、即席の味噌汁をすすった。
「あつっっ///」
「あ〜、もう、何やってんだよ!
お湯入れたばっかなんだからさー、
熱いに決まってんだろ〜?」
「ヤバい!舌火傷したかも…」
「どら〜?見せてみろよ…」
…………………(;・ω・)
俺の視線を感じた二人は、
慌てて元の場所に戻り、
何食わぬ顔で弁当を頬張った。
見ようによっては、
イチャイチャと見えないこともない…
反面、
鍋でも囲む女子ーズにも見えてくる…
まあ、平たく言えば。
仲良し、ってことなんだけど(-_-;)
「あ、に、ニノは大丈夫だった〜?味噌汁」
「俺、まだ飲んでないし……」
「あ、だよな〜!
俺もまだ飲んでないわ!
熱いものは冷めてからにするか、
フーフーしてからですよ!って、
お母さんに教わんなかったかなぁ〜?
全く智くんは考えなしなんだから…」
訳の分かんないことを、
早口で捲し立てる翔ちゃんに対して、
大野さんは笑いを噛み殺して、
弁当の鮭を口に放り込んだ。
はぁぁ………
俺は小さくため息を吐いた。
明るい……かも知れなかった俺の社会人のスタートは、前途多難、四面楚歌、五里霧中……
今この瞬間、
俺は翔ちゃん恋しさに、こんな場所まで来てしまった軽率さを恨んでいた。
「ほら、ニノ、卵焼き一個やるよ!」
何の前触れもなく……
まあ、普通は前触れなんか
ないんだろうけど…
翔ちゃんが、俺のご飯の上に、自分の卵焼きを乗せて来た。
「なっ…いいって!」
「なんでだよ〜?好きじゃん、卵焼き。
いいから、ほら!食え食え!」
「……じゃ、いただきます…」
もお〜っ///
俺、子どもじゃないんだから('ε'*)
好きな人に、
完全に子ども扱いされる俺を、
大野さんは笑って見ていた。
なんだか、負けた気がする…(;-;)