第5章 復活アメジスト【S×M】
【櫻井】
そうだよな……
離れていた時間までを、
俺に縛る権利もないし、
とやかく言う資格もない……
分かってる…
分かってるけど……
理屈じゃ割り切れない気持ちもある。
それに、相手がさ……
智くんだったっていうことに、
俺は少なからず動揺した。
少なからずどころか、かなり…だ。
俺の反応を伺いながら、
言葉を選ぶように話す潤に…
なんて言葉を掛けたらいいんだ?
そうか、よかったな、っていうのは違うし、
智くん、よかった??
っていうのはもっと違う///
昔のことだ……
そう割り切ればいい…
潤だって、そこに何か特別な感情がある訳じゃないから、俺に話したんだ…
だから……
「…翔くん??」
「えっ?」
「…ごめんね…」
「ごめんなんて…そんなこと…」
………俺の動揺が、潤を不安にした。
謝ることなんか何もないのに。
『ごめん』なんて言わせた。
俺…最低だな…
「潤……」
俺は、潤の腹に回した手に力を込めて引き寄せ、
首筋に顔を埋めた。
「正直に言うよ…
嫉妬した…智くんに…
潤を知ってるのは…俺だけだっていう…
勝手な思い込みがあって…」
すると、潤は俺の手の上から、ぎゅっと握って、
「嬉しい…俺…」
ぽつりとそう言った。
潤……
…潤………
堪らず潤の白い首筋に唇を落とすと、
潤は少しだけ甘い声を漏らし、
くすぐったそうに、首を竦めた。
その仕草に、
俺の『雄』がズギュンとギアを上げた。
「潤、いこ!」
「えっ??」
先を急ぐように立ち上がって俺は、
潤の手を引いて浴室を出た。
「行こう、って…」
「ベッド…潤を、今すぐ抱きたい!
大野智を、潤の身体から追い出したい!!」
「追い出すって…そんなのとっくに…」
「いいから!」
簡単に拭いただけで、
露の残る裸の身体を抱き寄せながら、
俺はベッドルームのドアを開けた。