第5章 復活アメジスト【S×M】
俺もそうだ。
潤を誘おうって、そう思っても、
そのタイミングが、もう無くて…
潤は、芸能界の友達をどんどん増やしていき、
そんな仲間と仲良くやっているのを聞くにつけ、
もう、俺の入る隙間なんかないのかな?
『もう俺のことなんか必要じゃない』
勝手にそう決めつけてた。
『翔くん、翔くん』
って、俺の後に付いて来ていた松本潤は、
もういないんだって。
話せばよかったのか……
こんなにずっと近くにいたのに、
遠ざけていたのは俺自身だった。
「だから、翔くん…改めて言わせて欲しい…
翔くんが好きです!だから、俺と付き合ってください」
「潤…」
潤が、真っ直ぐに俺を見て、
飾らない、素直な言葉で伝えてくれた。
なら俺も…ちゃんと向き合わなきゃね…
俺の気持ちと、彼の想いに。
「潤…俺、俺もずっと潤のこと、忘れられなかった。
好きだって思っちゃいけない、
そんな気持ちはマイナスなんだって…
勝手に決めつけてた。」
「………」
潤の大きな漆黒の瞳に、吸い込まれそうだ。
大きく息を吸い込んで、覚悟を決めた。
立ち上がって、彼の側まで行き、潤の潤んだ瞳をじっと見つめた。
「潤、一緒に歩いて欲しい。
俺の側で…一番近くで、俺のこと見ていて欲しい…
潤……愛してる……」
「しょおくん!!」
潤が、俺の胸に飛び込んできた。
その身体をしっかりと受け止め、
背中をしっかりと抱き締めた。
………この温もりが、どんなに欲しかったか。
付き合っているときは気付かなかった、
俺の中での潤の存在の大きさ。
「ごめんね…俺が逃げてた」
「そんなことないよ!俺だって……俺も怖かった…
ぶつかって拒否されること。
そんなことになるなら、今のまま、メンバーのままでいい、って…
そう思ってたんだ。」
俺と同じだったんだな…
鼻をくすぐる潤の香水は、
あの頃と変わらないけど、
あの頃より少しだけ、大人の匂いに変わってた。