第5章 復活アメジスト【S×M】
【松本】
………夢?
俺は……夢を、見てんのか?
いや、違う…
遠い過去に置いてきたと思っていた
この…香りと温もりのセット…
懐かしい翔くんの腕の力…
重なる…胸の鼓動……
俺はいま…
間違いなく
大好きな翔くんの腕の中にいる…
俺の吐き出した想いに応えるように
翔くんの熱い腕が心ごと…
俺のことをギュッと包み込んでいる。
夢じゃ、ない……
あの日々が…
あの時間が…
…戻ってきた…?
「俺たち…こんなに近くに何年も一緒にいたのに…
同じ想いだったこと、気づかなかったんだね(〃ノωノ)」
熱く抱きしめられ
しばらく…その肌の温もりの懐かしさに
どっっ…ぷりと浸ってから。
「そう、だな……お互い…押し留めてたんだろうな」
「もし嵐がこんなに売れなくて…あのまま……」
「あまり仕事がこなかったらとしたら…?」
「うん、そう…どうなってたかな、俺たち…」
「不安とヤケな気持ちをぶつけ合いながら…」
「ホントの気持ちに気づかないまま…」
「慰め合うだけの関係を…続けていたかも…」
クスリ…と笑う翔くんの胸が揺れる。
「じゃあ…この10年という月日は…必要だった?」
「少し……いや、だいーぶ長すぎたけど…な(^^;」
また…クスクスと。
これ……
ずっと遠くで聞いていた
ファンの子を…
番組を…
盛り上げるための
翔くんの甘い笑い声(*´`)…
今はこんなにも近くで
俺の胸に響いてくる。
埋めていた顔を上げて
翔くんの顔を間近でジッと見つめる。
翔くんも見つめ返してくれるけど
「なんだよ…ヽ(≧∇≦)ノ…照れくせーよ…ww」
って…恥ずかしそうに笑いながら
横を向こうとするから
その頬に手を当てて
クイッとこっちを向かせた。
もう……
迷ったり
我慢したりするのは
…嫌だから。
「翔くん……キス…して…?」