第5章 復活アメジスト【S×M】
【櫻井】
潤が笑っている。
鍋から立ち上る湯気の向こう…
あの頃と変わらない笑顔で…
何だか懐かしくて、
嬉しくて、見つめ合って、微笑み合った、けど…
潤がいつまでたっても俺を見ているから、
何となく気まずくて、俺から目を反られた。
部屋の中に漂ってしまった甘い空気を消したくて、俺は、カセットコンロの火を調節する振りをして俯いた。
それにしてもさ……
なんなんだよ、あいつら……(。-`ω-)
今ので確信した。
俺の疑問。
………俺と潤のこと、あいつら知ってる。
最近の俺と潤の様子を見て、何かを察っした?
もしそうじゃないとしたら、
昔の俺たちの…俺と潤の関係を
分かってた…ってことなのかな?
……いや、待てよ!?
やっぱり最近の俺たち…なのか?
ふたりで鍋食べてたりしたから…
今まで『二人で』なんてこと殆どなかったし、
昨年のコンサート『untitle』では、
潤と俺はユニットを組んで1曲やった。
でもそれはあくまでも『ファンのため』
スタッフからそれを提案され、
俺と潤は顔を見合わせた。
躊躇ったのは二人でやんのが嫌なんじゃなくて、
何かが漏れ出してしまうんじゃないか?
それを危惧したから。
言葉にはしなくても潤も気持ちは同じだったのか、二つ返事でという訳にも行かず…
結局はユニットを組んで、二人のことをラップに綴ってはみたけれど。
覚悟を決めたつもりで臨んだコンサートのステージ上…俺は結局、潤とほとんど目を合わせなかった。
たぶん、ここで見つめ合ったりすれば、
ファンの子たちは大喜びするんだろうな…
そう分かっていても、
どうしてもバッチリ見つめ合えなくて。
………潤……
それほど、潤とのことは、
俺の中でまだ、過去のことじゃなかったんだ。