第5章 復活アメジスト【S×M】
【二宮】
実はさ、かなり前だけど……
そうだなぁ、あれは、国立で初めてコンサートした頃だから、10年以上も前になる。
俺は、密かな疑いを持っていた。
当時、誰にも話せなかったけど、
かなり信憑性を持って、確信があった。
『櫻井翔と松本潤交際説』
前から、松潤が翔ちゃんのことを好き…
まあ、メンバーとしては当然なんだけど。
それ以上の気持ちがあったのは知ってた…っていうか、分かってた。
いや、バレてた…と言った方が近いかな?
ジュニアの頃からの流れを引き継ぐ松潤は、
翔ちゃんには、絶対な信頼を寄せていたし、
色んな場面でリスペクトしていたんだと思う。
まあ実際のところ、
俺達3人は、高校さえやっと卒業した口だし、
大野さんに至っては、途中で高校さえ止めるっていう、古き良き時代のジャニーズの流れを受け継いでたほどで…
そんな中、翔ちゃんは生粋のお坊ちゃまで、
嵐をやりながら、天下の慶応大学に通うという、
俺たちとっては、雲の上の存在に近い人な訳で。
ご学友でもある、いいとこのボンボンたちと、
派手に遊ぶ一方で、
しっかり勉強もしてたから……
『嵐やってるからって、馬鹿にされんのだけはヤダ!』
って…
そりゃあもう、根性見せてた訳!
そんな翔ちゃんの背中を、
一番熱い目で見ていたのが松潤だったんだ。
『翔くん、翔くん』って、
忠実な仔犬よろしく、くっ付いていたのがデビユーしたばかりの頃だ。
上手くいかないことも多く、
仕事も順調とはいえない中、
俺たちは今後どうしていけばいいか、
時間を忘れて話しあったこともあった。
『嵐はこのままで終るのか?』
そんな強い思いのメンバーや、
『もともとやりたかった訳じゃない』
なんていう、
後ろ向きな気持ちのメンバーもいる中……
徐々に俺たちは結束を固めていった。
後からデビユーした後輩グループが、
ドームでコンサートを成功させる中で、
『負けたまま終わる訳に行かない』
口にはしなくても、
それが俺たち5人の総意……
トップを目指して、
一枚岩になった瞬間だった。