第5章 復活アメジスト【S×M】
素直に話す潤に、
俺は顔が熱くなるのが分かったけど。
でもね…そこはさ、
仕事だからね。
お約束通りの、
櫻井翔ならこう言うだろう、
というそつのないコメントをしたけれど。
本当は、ドキドキが止まらなかった。
『翔くんって、ホントにイケメンだよね❤️』
潤はよく、そう言って背中からハグして、俺の頬を撫でていた。
だから、分からない訳はなかったんだ。
どんなにアイマスクをしたって、
時間が過ぎ去っていても、
潤の手は、
俺の輪郭を、ちゃんと覚えていたんだ。
潤と付き合っていた頃、
殆ど潤のマンションに入り浸っていた。
仕事が終わったと連絡してから帰ると、
潤がご飯を作って待っていてくれた。
始めのうちは、潤もそんなに作ったことがなかったようで、正直上手とは言えない時もあった。
でも、潤は元々の凝り性を発揮して、
いろいろ研究し、調味料を揃え、
ドンドン腕を上げた。
「あ、これ、うめっ♪」
俺が喜ぶ顔が見たいんだとか言って、
いろいろ作ってくれた潤。
『胃袋を掴む』なんて、相手を落とす慣用句にも言われる通り、俺は、潤に夢中になっていったんだ…
胃袋はもちろんだけど…
身体の方にも…
始めて経験した、いわゆる『ソッチ』の味…
申し訳ないけど、女とは比べ物にならないくらいに『ヨクて…』
俺を受け入れてくれる『ソコ』はもちろん、
平らな胸の先に息づく粒さえ、
俺の快楽を高める重要なアイテムになっていった。
………恋じゃない…
そう思っていたけど、
その時の俺は、もしかしたら『恋じゃない、恋なんかであるはずない』
そう言い聞かせていたのかもしれない…
今なら分かるよ…
あれは確かに、紛れもない、
『恋』だった…と。
認めるのが怖かったんだ…
子どもだったから…
もう、今更、なんだけどね…
この頃の潤が、
どうしてもあの頃と重なるから、
俺は少しだけ、混乱しているに過ぎない…
そうだろう??