• テキストサイズ

Jewelry♢ボックス【気象系BL】

第5章 復活アメジスト【S×M】



「じゃ、俺、もう少し打ち合わせ行ってくる」
「おう。頑張れ~」

手を挙げた俺に、潤は優しく微笑んだ。


………気のせいかな?
その笑顔が、あの頃の潤と重なって見えたのは…

そんなはずは、ないのにね…


「おっ、旨そっ♪」

そこへニノがやって来た。

大抵、潤が席を立った後に、見計らったかのようにやって来るのがニノだ。

俺と潤が『鍋部』と呼んでいるのは、
まあ、ただ本番前に、ただ鍋を食べてる、ってそれだけなんだけど…


智くんと相葉くんの『スイーツ部』に席を置いていた俺は、身体を絞っている関係で、甘いものは量食べられない……

そこで、鍋なら……
ということになった。

潤と……

「じゃあさ、鍋にしようよ♪バランスもいいし、野菜もたっぷり摂れるしさ」


………なんだか不思議な感覚だった。

一定の距離を取ることが当たり前になっていた潤が、急に隣に並ぶ毎日に、
戸惑いと喜びを感じていた。


「これ見て〜、公式サイトに載せていい?」

そう言ってニノが見せた写メは、
俺と潤が鍋を囲むワンショット。

自然に見えるその一枚は、家でふたり、鍋を食べていた過去を思い起こさせた。

黙って見つめる俺に、ニノが、
「スタイリッシュでしょ?鍋なのに」
そう笑った。


どうして今になって、そんなことを思い出すんだろう……

もう、当の昔に封印したはずの過去なのに…


あの頃の俺たちは、仕事のない毎日や、
後輩がどんどん追い越していくような焦りに、身を寄せあって居たにすぎない。

……それは、恋じゃない…


お互いにそれに気付き始めた頃、
徐々に嵐の人気に火が着いた。

少しずつ増えていく仕事。
掛けてもらえる声の多さと温かさ……

待ちわび、願い続けたその時が、
俺と潤の別れの時となったんだ。



……もう10年以上、昔の話だ。

/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp