第4章 琥珀色の恋【A×N】
椅子に腰かけて、靴紐を結ぶ俺の隣に、
松潤がどかっと座った。
「あ、なんか、さっきはごめんね~」
「いや~、ちゃんとスイッチ切り替えたみたいだからさ、心配してないよ~」
「…ん…ん~??」
松潤が、何を言いたいのか分かんなくて、
彼の顔を見た。
すると、腕を組んで、
身体を伸ばすように捻りながら、
俺だけに聞こえる様な声で、前を見たまま言った。
「今回のユニットもさ、決めたのは全部ファンの子が喜んでくれそうなもの…
ってことだったじゃん?
いろいろアイディア出して、考えてくれて、
相葉ちゃんには感謝してるよ~♪」
「いや、そんな!」
「マジで♪」
松潤が大きな目で俺を見てにっこり笑った。
「イイもの作ろうぜ!!」
そう肩を叩いて行ってしまった。
そうだよ。
『UB』やろうって…
密着ペアダンスやろうって決めたのだって、
翔ちゃんとリーダーと
ヤマンバやろうと思ったのだって、
全てはファンのため…
観に来てくれる人たちが、
俺達のわちゃわちゃを…
BL要素を含んだの演出を喜ぶなら、
それで行こうよ。
そう決めたのは、誰でもない…
俺だ。
俺達5人だ。
ニノへの気持ちで、揺らいでる時期じゃない。
今は、コンサートの事だけ考えよう。
ニノとも、『UB』で、
これでもかっていうくらいに、魅せよう。
全てはそれからだ。
俺がこんなじゃ、ニノにだって悪いし…
「よし!何からやる~?」
気合いを入れて立ち上がると、
松潤が笑って小さく頷いた。
……この人、もしかして、
なんか、分かってるのかも…(^^;
翔ちゃんもリーダーも、笑いながら出て来た。
張り切って肩を回しながら、
フロアの真ん中に出て行く俺の背中を、
ニノが見つめていたこと…
この時の俺は、気付く筈もなかったんだけど……