第4章 琥珀色の恋【A×N】
ガチャ…とドアを開けると
めっちゃ不安そうな顔した相葉さん。
「ニノ…え、と……あの、俺……」
「もう~…急に脅かすからさぁ~…
足にもビールかかっちゃったよ~」
相葉さんの横をすり抜け
リビングの方へ歩き出す。
「…ご、ごめん……あのさ…っ…」
「やっぱ俺のこと
病人だと思ってないんじゃないの~?」
冷蔵庫に辿り着くと
新しいビールの缶を2本取り出して
「さっきの相葉さんのビール
冷蔵庫に戻しといて?ぬるくなったでしょ?」
そう言ってから
ダイニングテーブルの席についた。
「お鍋、できたんでしょ~?…食べよ!」
キッチンの入口に立つ相葉さんは
何か言いたそうな
困ったような顔をしていたけど
「うん、待ってて」
しばらくすると
ミトンをはめた手に熱々の土鍋を持って
テーブルにやってきた。
そこからの俺は…俳優、二宮和也。
『二宮和也』という役を…
つまり
自分で自分を…
完璧に演じ切った。
今までの俺なら
いつもの俺なら
こう答える。
こう茶化す。
それを必死に考えながら
これまでと変わらない…
相葉さんに恋してない…
みんなが知ってる二宮和也を
ごく自然に演じ続けたんだ。
時間が経つのは
ものすごく遅く感じたけど…ね…
「ホントに帰るの?」
玄関で靴を履いてる相葉さんの背中に
ホッとしてる気持ち半分
残念な気持ち半分で
おずおずと声をかける。
これまでの俺なら…
今日のこのシチュだと間違いなく
相葉さんを泊まらせていただろうから
そのように誘ってはみたんだ。
「う、ん…一応…病人扱いだから…」
でも…
立ち上がって振り向いた相葉さんは
ニッコリと微笑んで。
「無理させたら…松潤に怒られるし」
俺が『いつもの俺』だって
すっかり信じているね…
ふふっ…よかった……
これで…よかったんだ……
「早めに寝ろよ~」
そう笑って
相葉さんは爽やかに帰っていった。
……バカ。
あの時…なんで抱きしめたの?って…
聞きたくて聞きたくて
気が狂いそうだったんだからな……