第16章 待機所で
「ダメ、その顔で待機所行かないの。」
不意にカカシに廊下で声をかけられた。
「え?顔緩んでる?そんなつもり無いんだけど…」
「オレ……我慢出来なくなるから、オンオフ切り替えよう。」
さすがスマートなカカシだ。
あんなに甘くしておいて、仕事になると簡単に、切り替えが出来るらしい。
まったく憎い奴だ。
「今日皆に…からかわれるのが目に見えるわー。あー逃げ出したい。」
「あー、…絶対そーだねー。」
よっぽど自分の話になるのが嫌らしい。しかし私もその映像が目に浮かび、顔を歪ませていた。
あの後カカシの家に泊まった。
次の日お互い待機だったから2人で歩いてここまで来たけれど、これ以上歩いて行くのに勇気がいるようだ。
カカシが、私の顔をみて、
目を細めて嬉しそうに微笑んだ。
「ま、いっかー、もう隠す事なんもないしね。」
そう言って手を絡めるように握って引っ張られて待機所の中に入った。
案の定、みんな大注目で、
からかわれたりしてたんだけど、段々、みんな恥ずかしくなってきたのか、最後には、ご馳走さまですーって笑って言っていた。
カカシは、恥ずかしそうにしてたけど、ずっと手は離さないでギュッと握ったままだった。
ずっと、笑ってた
カカシも笑ってて
その笑った顔をみて
また笑った
その日の待機所は、
ずっと笑顔が溢れていた。