第10章 もう一度
気配を消して木の影から、
少し見つめていた。
結局、失敗に終わって、
スケアさんと第七班は別れて帰っていく。
スケアさんが小さな溜息をついた姿を眺めていた。
久しぶりに見るスケアさん…
そして口布を取ったカカシを
思い出していた。
意を決して、
トンと、木から飛び降り、
スケアさんの真後ろに立った。
「スケアさん…」
「…っ!⁈」
「振り向かないで、聞いてください。
少しだけ…お話を聞いてもらえませんか?」
スケアさんは驚いていたが、
黙って背中から聞こえる私の言葉を、
少し待ってくれていた。
「先日は、スケアさんの気持ちを無視した軽率な行為をしてしまい、すみませんでした。許してください。」
「…いや、オレが…」
「スケアさんは、オレなんか言いませんよ?
スケアさんに言ってるんです。
あと、最後までとりあえず、
聞いて下さい。」
「……ああ、わかった。」
言葉を選んで会話を…。
彼にしっかり自分の気持ちが伝わるように…。
「スケアさん、最近ずっと…
カカシが、何かを気にしているように思います。
カカシは、優しい人だから、
自分で自分を責めていないか、一番心配なんです。彼に会ったら、そんなことを気にしなくていいって伝えてください。」
「………………」
スケアさんの背中が少し
小さく悲しそうに感じた。