第15章 break
「じゃあ、そろそろ現世に…」
宴会も終盤を迎え、一護がそう言った時だった
「一護」
恋次が一護を呼び止める
「…またな」
恋次がそう言った
そして
「黒崎一護、そなたには礼を言わねばならぬ。
尸魂界の窮地の時、力を貸してくれたこと…護廷十三隊総員を代表し、感謝する。
ありがとう、黒崎一護」
元柳斎がそう言った
隊長、副隊長が揃って頭を下げる
異例の光景だろう
『さ、行きましょうか…一護』
「おう…
こちらこそ、ありがとうな」
一護は笑顔で穿界門に入る
私はその先頭を歩いていた
ルキアは最後の見送り担当として…いや、最初に出会った者として一護を見届けに来ていた
「井上、料理は美味かったか?」
「うん!とっても!」
「そうか」
それで会話が途切れる
『そろそろだよ。』
私は穿界門を一護の家の前に繋いでいた
穿界門を抜け、全員が一護の家の前に立つ
一護が周りをキョロキョロと見回した
…もうそろそろ…か
「…お別れだ、一護」
ルキアがそう言った
「……そうみてえだな。」
一護の表情は悲しそうだった
「何だ、そう淋しそうな顔をするな。貴様に私が見えなくなっても私からは貴様が見えているのだぞ。」
「何だそれ、全然嬉しくねーよ。あと淋しそうなカオもしてねえ!」
一護とルキアが向き合った
『一護、また学校で会いましょう』
「おう…みんなに、よろしく伝えといてくれ」
「…ああ」
「じゃあな、ルキア…またな、蝶
ありがとう」
『さて、ルキア…帰ろっか』
「ああ」
私とルキアは穿界門を再び開き、尸魂界へと向かった
『ルキア、大丈夫?』
「何がだ。」
『泣かなくていい?』
「たわけ、そのうち会えるだろうが」
そう言ったルキアの声は少し涙声だった
『そうね。』
「蝶…一護のこと、頼んだぞ」
『もちろん。』
「一護は…直ぐに無茶をするやつだ。蝶も同じだが…
無茶をさせぬようにしてほしい。」
『そうね』
「一護に何かあったら…直ぐに駆けつけることは出来ない…だが、蝶なら…」
『安心しなさい、ルキア。みんなのことも、一護も…護るから』
私のその言葉に振り向いたルキアは泣いていた