第11章 abduction
それから三日後、喜助は宣言通り霊圧を制御する道具を作ってくれた
「どうっスか?」
『あ、霊力使いやすくなった』
「使いやすくなっただけっスか…ならまだもう少し調整しないとだめっスね」
『ごめんなさいね、わがまま言っちゃって』
私は喜助の作ったピアス型の霊圧制御装置を返す
「いいんスよ♪じゃ、今から調整してきますね」
そう言って喜助は自室にこもる
それから、数時間後…
「できましたよ」
喜助がピアスを持ってきた
『早っ!』
「試してみます?」
『もちろん』
私は喜助からピアスを受け取り、耳につける
『お、おお!霊力がちゃんと使える!!凄いじゃない!喜助!』
思わず私は喜助の手を握る
「!良かったっス」
『?顔赤いけど大丈夫?』
「だ、大丈夫っスよ。とにかく、ちゃんと調節出来てるみたいで安心しましたよ」
『ありがとう、喜助』
私は喜助にお礼を言った
「はいっス」
喜助はそう返事をすると地下修行場へと向った
喜助side
「できましたよ」
調整を終えた霊力制御装置を蝶サンに渡す
『早っ!』
「試してみます?」
『もちろん!』
蝶サンがピアスをつける
『お、おお!霊力がちゃんと使える!!凄いじゃない!喜助!』
そう言って蝶サンがアタシの手を握った
いやいやいや、その笑顔で、手を掴むのは…
顔に熱が集まる
「!良かったっス」
『?顔赤いけど大丈夫?』
誰のせいだと思ってるんスか…
「だ、大丈夫っスよ。とにかく、ちゃんと調整出来てるみたいで安心しましたよ」
『ありがとう、喜助』
「はいっス」
お礼を言われ、その場を少し足早に去り、地下修行場へと向かう
アタシが作った霊圧制御装置はピアス型
ピアスを贈る意味は"離れていても自分を身近に感じて欲しい"だったはずだ
「ま、暫くは近くにいるんスけどね」
そんなことを思いながら地下修行場への梯子を降りる
「チャンスは…あるんスかね」
蝶サンには忘れられない人がいる
それを知っていて…アタシは蝶サンを…
「ま、何事もこの戦いが終わってからっスね。」