第9章 インターホンはお静かに
.
「………」
誰だ…ろ…?
ってか、今何時?
カーテンから漏れる光は……
朝だってことくらいしか……わかんねぇ
"ピンポーン"
"ピンポーン"
"ピンポーン"
普通じゃない押し方に
眠気が急速に覚めてく
甦る記憶は、
今の状況は、間違いなくヤバイもので
見合いぶち壊して
次は、オトコと裸で寝てる息子なんかと遭遇した日には、
センセのお母さん、卒倒するわ
「ちょっと、センセ!!
起きて」
「ん…?
ナンだよ。……もう欲しいって?」
「ちがっ」
込められた腕の力に首を振るけど……
寝起き最悪のコノヒトはまじでタチ悪い
絶えず鳴り続けるインターホンにどうしようもなくて
どうにか動いた上半身を捻らし
無理矢理顔を上げると、
センセの開いた唇に、俺の唇を押し当てた
「んっ…ふ……」
なのに……
いきなり絡めとられた舌に、目を見開く
「ほっとけばいんだよ」
堪らなく色気を帯びたセンセが、
低い声でそう言った
「もう
誰にも邪魔させねぇ」
1度離れた唇が、
もいちど重なる
起きてたのかよ......?(笑)
ホントに、我が儘で自己中なんだから
でも、まぁ
後ろめたさも罪悪感も
尽きない不安もさ
こんな、愛されちゃってんなら………
仕方ないんだろね
もちろん俺も、
そう……だからさ
「センセ……」
首に回した腕で、センセを引き寄せ、
深いキスをねだった
「……て?」
「え?」
「もっと、して?」
「カズ…?」
「インターホンが、
気にならないくらいにさ?」
"インターホンはお静かに"
end?
.