第5章 イロナキセカイ
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「元に戻ろう。
ただの、……センセと生徒だった頃に」
頭ん中が真っ白になるって……
こういうことだと思った
「俺もお前も、
そろそろ現実見なくちゃな」
センセは淡々と
嘘みたいなセリフを並べてる
「親孝行なんてしてこなかったしさ?
お前だって、来年卒業だろ」
だから……?
だから……、なんなの?
「立場的にも限界だったし、煩わしい事も多かったしさ」
どして……、そんな事
普通に言うのさ……?
"これ選んだの失敗だった"
って……
まるで、
レンタルDVDや雑誌みたいに
「本気じゃ……ないでしょ?」
絞り出した声は、酷く震えてる
俺が望んでたのは、こんな事じゃない
冗談だって、
生意気言うから脅かしたんだって、
笑ってよ
なのにセンセは、
俺を見つめて
ゆっくりと、
口を開いた
「本気じゃなかったよ」
意図した答えとは、
全く違う意味で
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