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【M×N】インターホンはお静かに

第2章 夜の影






「アナタ、随分軽いのね」

「……」

「ふふ、女の子みたい」






楽しそうに笑いながら、

華奢な煙草に添えられた指を、黙って目で追う


薬指の指輪に気付いて、思わず目を逸らした






居心地が悪くて、


目の前に置かれた、
アイスコーヒーのストローをズズッ…、と啜る







……なんで、こんなことになってんだ






マンションの直ぐ側にある喫茶店


今まで何度も店の前を通ってはいたけれど、入ったのは初めてで……


それも、センセの元彼女とだなんて、有り得ねー


なんで俺、立ち眩みなんかしたんだよ





エレベーターで真っ青になった俺は、

部屋に戻るのを拒むと、彼女に支えて貰って、ココに来てた








「あら、ミルクは入れないの?」

「……いりません」

「そう。見た目より大人なのね。

オレンジジュースなんか似合うのに」






ムッとしながら、
ガラスの向こうに目をやった俺に、


聞こえた彼女の声






「潤のコーヒーは美味しいものね。

お砂糖なんて入れたら勿体ない」






記憶を辿るような表情に、

ざわつく心









「……でも、意外だったわ。

聞いてたイメージと全く違うんだもの」

「え…」






意味深な笑顔と

放たれた内容に、言葉を失う





「好きな人が出来たって。
相手が男なのも知ってたけど、
こんなカワイイ子だとは思わなかった」






"ね?"って、向けられた余裕の笑み


きっと、この人がセンセから聞いてたのは、サクライセンセのことだ







俺とのことは


……絶対に、知られちゃいけない








「なに勘違いしてんだよ。
センセと生徒だよ?」





上擦らなかった声に安心しながら、言葉を続けた





「男同士?
あんなオッサンと?

有り得ないって」

「…ふぅん。そう…」





それでも、


わかりきったような表情に、


胸騒ぎを感じてた









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