第15章 【岩泉】ENDLESS SUMMER
及「あ、そう。言わないってことは、オレがちゃん奪い去ってもいいんだね?···傷ついて悲しんでる女の子を、モノにするのなんか···オレには簡単に出来ちゃうけど?」
「つくづくテメェは鬼畜野郎だな」
コイツが狙ったモノを必ず手に入れるヤツだって事は昔から知ってる。
それがどんな壁があろうと、やり遂げる男だって事も···知ってる。
だけど、よ。
オレは本当にそれでいいのか?
このままを···及川に···?
及「何も言わないって事は、いいんだね?じゃ、これからちゃんのトコ行って、」
「あぁそうだよ!オレはに惚れてる!他の何もいらないくらいな!だから鬼畜野郎のクソ川になんか渡すもんか!!」
及川の挑発に乗ったワケじゃねぇ。
これが···これがオレの、本心。
及「へぇ~···ちゃんと言えるじゃん、岩ちゃん」
「これで満足だろ···帰れよ」
及「帰らないよ?だって、その岩ちゃんのキモチ···ちゃんとちゃんに聞いて貰った感想聞かなきゃだし?···ね、ちゃん?いいよ、もう出て来ても」
「そんなハッタリ、オレには通用しねぇ···ぞ?」
及川に向けて言葉を吐きかけ、ドアの向こうに姿を現したに言葉が出て来なくなる。
はぁ?!
なんでここにがいる?!
及川が送り届けたって言った···おい、もしかしてハメられたのかオレ···
じゃあ、さっきの···?!
『及川くんが···着いて来いって···』
口を閉ざしたままのオレに、が俯いたまま小さく漏らす。
及「岩ちゃんは素直じゃないからねぇ~?オレがひと肌、脱いじゃった···テヘッ!」
「テヘッ···じゃねぇよ!オレをハメやがったな!!」
及「人聞き悪いこと言わないでよ岩ちゃん。こうでもしないと、ちゃんに本心言わないでしょ!オレだって2人がケンカしたまんまなのイヤだし?ほらほら、そんなに離れてないで···はい、お互いにギューッと、ね?」
「するかそんなもん!」
及「えぇ?しないの??んじゃ、岩ちゃんの代わりにオレがちゃんをギューッと···」
「させるわきゃねぇだろが!!」
に近付き肩を抱こうとする及川を押し退ける。