第13章 【花巻】雨で近づく距離
雨のせいで一緒に帰れなくなっちまった…
ガッカリしたけれどよくよく考えたら
二人きりには変わりねぇよな…
そう思えばこの豪雨にも浮かれてしまう
「しばらく雨止みそうもないし…
何か飲み物でも買ってくるわ…何がいい?」
『えっ…花巻の奢り?』
「まぁな」
『やった〜花巻やっさし〜』
ピースサインを向けながら笑う
がスゲぇ可愛くて…
照れてしまいそうになる顔を隠しながら
教室に一人を残して自販機へ向かう
飲み物を両手に持ちこの後どうやって
二人の距離を縮めるかそんな事を考えながら
薄暗い廊下を歩く
窓の外は相変わらず強い雨が降っていて
一向に止みそうな気配のない空を見上げながら
これ待ってても無駄なんじゃねぇ?
そんな不安すら覚える…
その瞬間…窓の外が一瞬光ったかと思えば
ドーンと大きな音を立てて雷が鳴り響いた…
何となくが心配になり
足早に戻って教室へ入れば誰もいなくて…
あれ⁈
廊下も居る気配はなし…
「…?」
呼んでみても雨の音しか聞こえない
「…居ねぇの?」
もう一回呼んでみれば
『…は…なま…きぃ…』
か細い声が俺に届いた…