第12章 【国見】雨粒の子守唄
とりあえず着替えさせて部屋に連れてけば、オレが自分の服を着るのをジーッと見て拗ね出した。
「分かったって!ほら、これ着ていいから拗ねんな!」
適当に出したシャツを渡せば、不機嫌な顔がパアッと変わる。
やっぱ、子犬みてぇ。
『見て!着てみた!···どう?似合う?』
似合うも何も、オレの服だって、の···あ、ヤバ。
オレのシャツの裾から伸びる白い足。
見えそうで見えない絶対領域が、男の想像力を掻き立てる。
マジでヤバイ。
このまんまじゃ、いきなり襲う保証は100%の確率で自信がある。
ん?···それはダメだろ?!
「これも履いとけ」
素っ気ないフリをして、結局は半パンを渡すオレは···なんだろな。
結論から言えば···なんか勿体ないことをした、と。
無気力にもほどがあんだろ、オレ。
『まだ凄い降ってるね···雨。せっかくのんびりした時間だったのに···』
窓辺に立って外を見るが、残念そうにしょぼくれた声で言った。
「ま、いいんじゃね?のんびりするんだったら、ここでも変わらねぇし」
『そうだけど···』
ほら、こっちこっち···と、言葉の代わりにベッドに寄りかかった自分の隣をポンポンと叩く。
『ん、なに?』
「いいから、ここ座れって」
は・や・く···と口だけ動かせば、不審そうにゆっくりと近付いて隣に少しだけ距離を置いて座った。
「なんで離れて座ってんだよ」
『だって···』
なんとなく言いにくそうに顔を逸らすを見て、ふと···しょうもない事が頭を過ぎる。
オレ、練習終わりだったよな?
今日も暑くて汗だくだったよな?
で···雨にも濡れて···
オレ汗臭い?!
がそばに寄り付かないのはそのせい?!
1度それが過ぎってしまうと、オレ自信···気になって仕方ない。
「ちょっと、シャワー浴びてくる」
『えっ?!なんで急に?!』
なんでって、そりゃあ、まぁ···
「オレ都合?」
『なにその意味不明な都合!』
騒ぐを部屋に置いて、ダッシュでシャワーを浴びる。
オレが出たら、アイツもシャワー貸してやるか。
びしょ濡れだったし···つか、どうせなら一緒に入るか?くらいかましとけば良かったか?
···オレのキャラじゃないな。