第11章 【赤葦】溺れる街★
「赤葦、綺麗な字書くね。」
(そうきたか。)
この会話の流れで本気に捉える方が難しいのは分かっていた。俺自身も本気で告白するつもりじゃなかったけど、もし、本気にしてくれたら、次にさんに話す言葉は用意してある。
"俺と、付き合ってくれませんか?"
「赤葦は、ラブレター似合うね。」
「そうですか?」
「ねえ、私のどこが好き?」
「え?」
「これがラブレターだとして。どう?」
彼女の人差し指と中指に挟まれ、ペラペラと揺れる紙ナプキンの上の"好き"という文字を見つめながら、俺は頭をフル回転させ最善の返答を考えた。
「そうですね、、、
飯を美味そうに食べるところ。
笑顔が可愛いところ。
一緒にいるとドキドキするのに、
何故か安らぐところ。
あと、
胸がでかいところ。っすかね。」
ふざけるのも忘れない。
だって、本気と捉えられてフラれて終わるのはやっぱりゴメンだから。
「えぇー、赤葦っておっぱい星人だったんだー。」
「そりゃそうですよ。」
「いつも見てる?」
「今もさりげなーく見てます。」
「ぶふっ!!!そんな堂々と言うかな普通!」
吹き出して腹を抱えて大笑いする彼女を見てどこかホッとしている自分がいた。