第7章 【月島明光】眼鏡の向こう側
side明光
トイレ、と言い訳して一度車を出る。
コンビニにはいるけれど何をするわけでもなくぐるぐる店内を回っていれば、ふ、と目につく扉タイプの冷凍庫。
がぱっ
扉を開き冷気を浴びながら、その中の2つを手に取ると俺はそのままレジに向かった。
ーーーーーー
「おまたせ。」
そう言って運転席に乗り込んだ俺。
その勢いのまま俺は手に持っていた"それ"を彼女に差し出した。
「これ…」
「さっき…無茶させちゃたから。」
渡したのは冷凍のカップにミルクを入れて作るタイプのフラッペ。
受け取った手から少しだけ目線をあげると、ちゃんは口元を綻ばせた。
「それ、好きだよね。チョコミント。」
夏季限定、チョコミント味。
少し前にこれを飲んでいたことを思い出し手に取った。
喜んでくれたことに安堵すると、ちゃんは不思議そうな顔。
「明光さんも?」
反対の手に隠し持っていたもう一つのフラッペ。
こちらは最近発売されたらしいチョコ味。
チョコミント味を買う際に気になったからと買ってみたけれど…
ちゃんはそちらにも興味津々のようだ。
「飲んでみる?」
差し出せば、ちゃんは手に持っていたフラッペをドリンクホルダーに置き俺の方に手を伸ばす。
そして俺のを受け取るとストローを口に含み口の中へと吸い込んだ。
と、同時。
ふにゃり、と笑みに崩れる表情。
「美味しいです。ありがとうございます。」
その笑顔のままフラッペを返されたものだからたまらない。
破壊力抜群の笑顔の直視に耐え切れず曖昧な返事のままフラッペを受け取り、俺はまた正面に顔を向けた。