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《HQ》真夏の条件 〜夢短編集・夏〜

第39章 【黒尾】さようなら、またイツカ。★


***


所々卑猥なピンクに彩られた部屋。


俺たちは無駄に広いふかふかのベッドに身体を沈めた。

自分が下になって裸の彼女を抱きしめると、そのしなやかな後ろ姿が天井に貼られた鏡に写って見える。


「ごめんね、こんな場所で。」

「ううん。ラブホなんて初めて。」

「俺も。」


私服姿と背の高さが功を奏したのか、高校生の俺たちでも簡単に入店する事ができた。


「あの、、、私、初めてなんだけど、、、」

「大丈夫。優しくするから。」

「ん、、、」


とセックスがしたい。
オブラートに包むのも忘れてそう告げると、彼女は思いのほかあっさり頷いてくれた。

彼女と一緒にいた証。なんて言ったら女々しいかも知んないけど。全身で彼女を覚えていたくて必死だった。


「鉄朗、、、、」


不安げな瞳が揺れている。

彼女を抱いたままくるりと身体を反転させ、今度は俺が上になる。


「俺たち、こんな風にならなくてもセックスしてたかなぁ。」

「どうだろう、、、きっと、シてたと思うよ?」

「うん、、、、、好き。」

「私も、、、このまま一緒にいられたらいいのに、、、」

「いっそのこと二人で死んでみる?」

「鉄朗が死んじゃうなんてやだよ。」

「だから一緒だって。」

「、、、、でもヤダ、、」




それから俺たちは、行き場のない切なさをぶつけ合うように身体を重ねた。

きっともう二度と交わうことのない熱を。
求めあって、絡めあう。



そして最後に、
俺は彼女の最奥に今日一緒に居た証を、放った。

現実に対する精一杯の悪あがきだった。



これがもし夢なら、
ずっと眠っていたい。

鏡に映るくったりとしたの身体をぼんやりと見上げながら、俺はそう思った。


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