第39章 【黒尾】さようなら、またイツカ。★
それにしてもなんて巧妙な夢だよ。
8年前にコイツが死んだ時は、お互い10歳だった。なのに、今目の前に立ってる女はどう見ても、今の俺と変わらない歳くらいに見える。
最近のお化けは、あの世で成長して現れるもんなのかね?
俺は目の前の情報をとりあえず夢として片付けることにした。
「鉄朗、よく私だってわかったね?」
「左目んとこと、顎のホクロでピンと来た。はなんで朝から俺んトコに来たの?しかもこんな成長した姿でさ。」
「鉄朗に会いたかったから、かな?」
「ふぅーん。じゃあさ、一緒に寝る?起きるにはまだ早いから。」
「うん。」
俺は彼女に手を伸ばし、つかまえた腕を引き寄せる。自然に、ずっと一緒にいたかのように。
なんて幸せで、意地悪な夢なんだろう。
そう苦笑いをしながら抱き締めるその身体は柔らかくて、いい匂いがした。
「部活ないから、、、9時に起こして、、、」
「うん。」
「。」
「うん?」
「、、、、、、、、好き。」
それは、幼い頃の小さな蕾のような想い。
俺はの身体をぎゅうっと強く抱きしめて、瞼を閉じた。