第36章 【宮治】ナイショ。 ★
約束のコンビニに10分前に着くと、そこに居たんは紺色の浴衣に身を包んだ治くんだった。
事情を聞いてめっちゃ侑に腹立ったけど、彼の浴衣姿があまりに似合っていてそんな気も失せてしまった。
そんな治くんが私を好きやなんて、、、。
ついうっかり自分が侑の彼女やいう事を忘れて、ドクドクと音を立てる鼓動。
隣で焼きそばのパックを開けてさっそく頬張っている彼は、そんなセリフが嘘だったみたいに平然としていた。
(なんやの、、、私ばっかドキドキして、アホみたいやん、、、)
「は食わんの?たこ焼き買ってたやん。」
「あ、うん!食う食う!!!」
「暗くなったら手元見えへんし、今のうちやで。」
「うん、そうやね。」
「なぁ、たこ焼き一個欲しい。」
「ええよ!せやったら、実は私も治くんが買ってた唐揚げ狙っててん。交換しよ?」
「ほい、あーんしてみ?」
「え!?、、、いや、普通に自分で、、、」
いちいちドキドキさす事をしてくる治くんに、まんまと踊らされてる自分がめっちゃ恥ずかしい。やけど、侑とは違う治くんが醸し出す雰囲気や、優しさに触れてしまうとどうにも堪えが効かなくなる。
彼氏への罪悪感ももちろんあるのに、本気の彼を前にしてその気持ちは崩れ始めていた。
(こんなん、アカンのに、、、、)
控えめに口を開けると、治くんはニッと口角を上げ微笑んで、私の口の中に唐揚げを放り込んだ。
「おいひぃ、、、」
「フッ、、、口でかっ」