第5章 【月島蛍】あなたの側で
「すごいでしょ?どうしても、蛍と一緒に見たかったの。」
「うん、ありがとう。僕も…そのっ…やっぱりいい。」
「え!?なに!?ずるい!!」
僕も、と一緒に見られて嬉しかった。
と一緒にいろいろな景色が見たい。
……口が裂けても言えない。恥ずかしい。柄じゃない。
いつまでも立って上を見ているのは彼女にとって負担だろうと、公園の隅にあるブランコに座った。
いつ振りだろうか。ブランコなんて。もう、足が届くどころか地面がとても近い。
「私たちって…。私が働き始めてから、織姫と彦星みたいだったでしょ?」
ふと、空を見上げて、星の光に照らされながら話し出す。
「そうだね。年に一度、7月7日にしか会えなかったし。」
「それでね、去年、烏野高校に転勤したいと希望出してみたの。」
「まぁ、今年来てないところを見ると、ダメだったんでしょ。」
「うん。だから、今年は短冊にお願い事かいたんだ。‘烏野高校に転勤できますように’って。」