第5章 【月島蛍】あなたの側で
「よし、いこう!」
「いや、どこに?」
「いいからいくよ!」
今日は振り回されてばかりだ。
でも、と一緒に居られるから、それでもいいとさえ思ってしまう僕は末期だ。
車で約10分。
そこは、人の少ない公園だった。
「まだ車にのっててね。」
言われるがままにのっていると、は助手席まで回り込み、ドアを開けてくれた。
「良いって言うまで、目をつぶってて?」
「どうし「いいから!」」
有無を言わさない物言いに仕方なく目をつむると、手を引かれて歩いた。
暗闇で歩くのは怖いけど、まぁ、手を引いてくれているし、特に問題はない。
「よし、蛍?」
「ん?」
「目を開けて、上を向いてみて?」
「!? なに、これ…。星河一天…。」
僕達は、公園の中心にいて、
空には一面の星がちりばめられていた。
中心には天の川。
口に出てしまったけど、まさに星河一天。
空一面に、数えきれないほどの星が輝いていた。