第5章 【月島蛍】あなたの側で
「…ここ、どこ?」
「長野県!…の、山奥!…の、旅館。」
どおりで5時間以上もかかった。
っていうか、なに?旅館って。
僕、荷物持ってきてないんだけど。
「これでお出かけの誘い断られたら、キャンセルして蛍の家泊まろうと思ってたけど。あーよかったよかった!」
「よくないよ!僕、身一つできてるんだよ!?」
「まぁまぁ、まずは温泉に浸かって落ち着こうねー。」
眉間に皺を寄せる僕を引っ張ってチェックインすると、まよわずに温泉に行く彼女。
ちょっと部屋に温泉がある…?なんて期待した僕がバカだった。
あたりまえのように女湯と男湯に分かれて一人で入浴。
今日くらい…一緒に入れるところ予約してくれてもよかったのに。
その後は夕飯を済ませ、部屋でゆっくりして、時刻は11時を過ぎた。