第33章 【岩泉】二人だけの花火大会
色鮮やかな花火が暗くなった
二人だけの空間を明るく照らす…
はじめと花火なんていつ以来だろう…
ここ数年はバレー漬けのはじめと
二人っきりで会う機会も減っていて…
勇気出して告白して良かった…
昔みたいに一緒に笑っていられる
『はじめ〜これスゴい…色変わる』
子供みたいにはしゃぐ私を見て
はじめも楽しそうに笑う
「こっちの花火もいいだろうが…」
『うん…』
はじめは最後の一個の仕掛け花火に火を付けて
私の隣に並ぶと手を取り指を絡める
『綺麗だね…』
そう呟いてキュッと私も握り返す
二人して花火を見つめていれば
「少しはの理想に近づけたかよ…」
はじめが小さくそう言えば
思い出される遠い記憶…
〈もし彼氏が出来てね…
一緒に花火大会に行けるなら
浴衣着て手を繋いで歩きたい…で
たこ焼きかなんかを二人で仲良く分けて…
お互いに『あ〜ん』とか…
あっ…さすがにそれは恥ずかしいか…〉
中学生の頃…
はじめの前で熱く語ってしまった妄想話…
あの頃は面倒くさそうな顔してたくせに…
シッカリ覚えてくれてたんだ…
でも…
あの時の話を実現してくれてるなら…
もう一度はじめの手を握り直す