第33章 【岩泉】二人だけの花火大会
『あと…いっこ…足りないよ…?』
そう呟いてはじめを見上げれば
はじめも私を熱い瞳で見つめてて…
ドキン…
一気に胸が高鳴る…
〈…それから…ね…
花火の余韻の中でキス…したいな…〉
すると花火が消えて二人だけの空間に
暗闇と静寂が訪れたその瞬間…
はじめの口唇がゆっくりと重なった…
チュっと触れるだけの優しいキス
『はじめ…大好き…』
逞しい胸に抱きつけば優しく包んでくれる
「俺も…」
『来年こそは一緒に行こう?』
「行かねぇし…」
『…なんで?』
少し身体を離して見上げる私に
はじめは照れくさそうに答える
「の浴衣姿…誰にも見せたくねぇ…」
そしてもう一度腕の中に閉じ込める…
はじめの加速した胸の鼓動が心地よくて
私もはじめの背中に腕を回す
遠くの方から花火大会の音が聞こえる
はじめと一緒なら来年も
二人だけの花火大会…
してもいいよ…
fin.