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《HQ》真夏の条件 〜夢短編集・夏〜

第33章 【岩泉】二人だけの花火大会




はじめの家の前で手鏡を出しては
前髪をチェックする

せっかくだからと浴衣を着て
髪も普段ならしないアップとかしてみた…

何か言ってくれるかな…
緊張しながらチャイムを鳴らす


もう何度もお邪魔しているはじめの家
いつものようにリビングに入れば
定位置のソファに腰掛ける

「麦茶でいいか?」

『うん…おばさんは?』

「仕事」

『ふ〜ん…』

話す会話もいつもと変わらない…

麦茶を運んでくれるはじめも
普段通りのTシャツと半ジャー姿…

へっ⁈なんで⁈

『はっはじめ…そのカッコで行くの?』

「あ?行くってどこ行くんだよ…」

『どこって…花火大会…』

「それは行かねぇってつっただろうが…」

えっ⁈えっ⁈どういう事?
話が全く理解出来ない…

『でも…今日花火って…』

「あぁ…だからコレ…」

そう言って差し出されたのは
ビニール袋に入った手持ち花火だった…


思い返せば確かに行くとは言われてなくて…
でもあのタイミングで言われたら
間違いなくそう思っちゃうよ…

勘違いした私が悪いのかな?
気合い入れて浴衣とか着てきた自分が
スゴく恥ずかしい…


「拗ねんなよ」

『拗ねてない』

「じゃあ怒んな」

『怒ってない』


…泣きそう…

楽しみにしてたぶん
この気持ちの行き場がわかんない…


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