第33章 【岩泉】二人だけの花火大会
今度の土曜日…花火な…
ウチ集合だから遅れんなよ…
突然誘ってきたのは彼の方だった…
どういう風の吹き回し⁈
私がどんなに誘っても
乗ってくれなかったくせに…
『ホントに⁈』
驚いて目を丸くしながらそう答えれば
「嫌ならいい…」
ぶっきらぼうに言われる
『…全っ然ヤじゃない…行く…』
今週末は毎年恒例の花火大会の予定で
幼馴染のはじめに一緒に行こうって
毎年誘ってるのに全然乗ってくれなくて…
もちろん今年もおんなじ答え…
「いつも言ってんべ…
なんでわざわざ人の多いところに…」
『…うん…そうだけど…』
溜め息混じりにそう言われると
何にも言えなくなる…
でも…
私だって今年は引き下がれない…
幼馴染からカレカノに昇格した私達
彼氏と花火大会なんてビッグイベント
絶対行きたい‼︎
『かっ彼女のお願いも聞いてくんないんだ』
まだ言い慣れない彼女っていうフレーズを
緊張して噛んでしまいながらも
はじめの瞳を見つめながら言う
その一言に黙ってしまったはじめに
ちょっとズルかったかな…
なんて思いつつ次の言葉を待てば
「しつけぇ…行かねえもんは行かねぇ…」
バッサリと断られたのはつい先日の話…
なのに…なんで?
急に誘ってくれたの?
どうしよう…凄く嬉しい…