第31章 【孤爪】悪いのは君が可愛いせい。[R18]
人がたくさんいる祭りの会場を、研磨のおんぶで帰宅した私。
玄関を通り抜けベッドに座らせられると、そのまま研磨はキッチンへと向かった。
戻ってきた研磨の手には洗面器とタオル、そして先ほど空いたペットボトルに詰められた水。
「足、見せて。」
素直に足を見せれば、容赦なくかけられる水。
一気に痛み出す靴擦れに顔をしかめれば、濡れた足をそっとタオルで包んでくれる。
洗った足を床に置かれ逆の足を持ち上げられると浴衣の裾が割れた。
とっさに手を置いたけれど研磨は気にする様子もなく、私の足に水をかける。
親指と人差し指の間。
一番ひどいのがそこのようで、びりびりと水が沁みる。
思わず声が漏れ、口元を押さえたけれど遅かったようだ。
「痛い?」
「…少し。」
「そう。」
さっきよりも痛みが増しになった足をタオルで拭こうとするけれど、研磨は足を下ろそうとしない。
「…けんま?」
それどころか、声をかけたあとさらに足をあげられる。
さらに割れる裾。
恥ずかしさで裾を押さえた瞬間、生暖かい何かが足を這った。
「っ!けんまっ!」
ちる、じゅる。
靴擦れをなぞるように研磨の赤い舌が這う。
冷えた足に熱い舌が這い、くすぐったい…というよりやらしい気分になる。
時折傷が痛むのがやけにえっちで、いつのまにか内腿を擦り付けていた。
「ね、けんま…」
「やらしい気分になってきた?」
きょろり。
下から向けられる瞳は猫…というよりネコ科のヒョウ。
獲物を捕らえる、そんな瞳。
こくり、首を縦に振れば、研磨はベッドに私を押し倒す。
顔に流れた髪をそっと横に流してくれる。
視線をどこに向ければいいのかがわからなくなり、そっと目を閉じれば、耳に直接声が吹き込まれた。
「する、ね。セックス。」