第29章 【及川】弟みたい、が男になった日[R18]
「や、…めっ」
言葉とは裏腹に、私の体はベットへと沈む。
目の前には徹の顔と小さいころから見てきた天井。
「ん、ぅ…ッ」
そんなに考えている余裕などなく、唇がふってきた。
子どもの頃に頬にされたキスとは違う。深いキス。
下を絡められて、甘く、深く、そのキスは続いた。
拒否しなきゃいけないのに、拒否できない。
…あれ?なんで拒否しなきゃいけないの?
「それはね、#NEME1#が勝手に心に鎖をかけてたからじゃない?年上だからとか、幼馴染だからあり得ない、とか。」
「別に、そんなこと!…あるかも。っていうか、エスパーか。」
エスパーではない。きっと、私の表情を細かく見てきた徹だからこそ、人の癖を細かく見ることのできる徹だからこそ気づいていたのかもしれない。
ジャージの中に、いつの間にか私よりも大きくなっていた、男の人の…徹の手が滑り込んできた。
嫌らしい手つきでおなかを撫でていたかと思うと、その手は背中へと周り、ブラのホックをいとも簡単に外していた。
「なんか、徹馴れてる…。」
「だって、かっこいいところ見せたいからね!」
いやいや、ホックが外せる=かっこいいではないと思うんだけど…。
と思いつつ、ドヤ顔の徹を見て、それは隠しておこうと心に決めた。