第27章 【菅原】Parasol fantasia
『菅原先輩?!あの···いつからそこに?』
まさかずっと見てました、なんて言える訳もなく。
「あ~、ハハッ···いつからだろ。そういうさんは、こんな暑い中で何してたの?」
自分の事を誤魔化すように言えば、なんとなく気まずそうに日傘で顔を隠されてしまった。
あ~···聞いちゃ行けなかったか···?
変なこと聞いてゴメン、と謝ろうとして側に寄ると···さんがポツリと呟いた。
『ここにいたら、また···会えるかなって』
「会えるって、誰かを待ってたの?」
『菅原、先輩···です』
いま、オレの名前···だった、よな?
さんの言葉に、ひときわ大きく胸の奥がドクンと鳴る。
「えっと···オレ?」
情けなくも、そんなありふれた言葉しか出ないオレに、さんが振り返りながら小さく頷いた。
「どうして?」
学校でならいつでも会えるじゃん?って、笑って言えば···いい事なのに。
緊張で固まる顔のせいで、上手く笑えない自分がいる。
『それは···』
〝 1度目は···偶然 〟
あの時はホントに偶然だった。
偶然通りかかったオレの目に映った、ヒラリ···舞落ちてくる日傘。
『···私が、菅原先輩に会いたかったから』
〝 2度目は···必然 〟
いまは。
···もしかしたら、なんて思って足を向けた、この場所。
そしたら本当にキミがいて···
「オレも···会える、かなって···思ってたよ」
高まる胸の鼓動に揺さぶられながら言えば···
あの時と同じように、オレ達の間に強い風が吹き抜ける。
あの時と同じように、キミの日傘が飛ばされて。
ただ···あの時と違うのは···
『あ、の···?』
キミがいま、オレの腕の中にいること。
〝 3度目は···運命 〟
だけど···運命なんて待っていられない。
運命は、自分で掴みとらなきゃ···意味がないんだ。
『菅原先輩、私···あの···菅原先輩のことが···』
「待って?こういうのは···オレが言わなきゃだから···」
キュッと引き寄せた耳元に、たったひとこと伝える為に唇を寄せる。
「オレは···キミが好きだ」