第26章 【黒尾】君のいない夏★
それでも日常は続いてく。
どんなに俺たちが離れたくないと願ったところで、それが叶えられることなんかなく。は春休みの間に名古屋へ旅立ち、あっという間に4月になり、俺は心にぽっかり穴が開いたまま新年度を迎え音駒バレー部の主将になった。
俺以外の部員は、結局4月になってからが転校した事を知らされ、みんなそれぞれ思うところはあったろうけど、それでも6月のIH予選、そしてその先の全国の舞台に向けて足を緩めることはなかった。
立ち止まるという選択肢はない。
ましてや、昔からの因縁である烏野との関わりも出来て、むしろバレー部は活気付いて行った。しかし、俺たちはあっけなく予選敗退してしまう。
「そう言えば、さん、元気にしてますかね?」
いつだったか、部室でリエーフが何の気なしに言った言葉に、部員たちはやっとのことを思い出す。
一緒にいないという事は、きっとそういう事なんだろうな、とその時俺は思った。
いつも頭の中にいるはずなのに
いつも心の中で想っているはずなのに
授業中も、部活の時も、いつも景色のどこかにいたはずのの面影は、日を追うごとに薄れて行くんだ。