第24章 【孤爪】その雫をひと舐め [R18]★
「ねぇ、今度バレー部の試合観に行かない?」
クラスメイトに誘われて、その時興味もなかったバレー部の練習試合を見に行ったのは、2年になってすぐの事だった。
なんでも主将の黒尾さんと言う人がめちゃくちゃかっこいいとかで、私は興味本位で土曜日の体育館に足を運んだ。
鮮やかな赤色のユニフォームに身を包む音駒バレー部。どうやら黒髪の1番の人が黒尾さんらしく、友人は彼の一挙一動にいちいちキャーキャー言っててなんか可愛かった。
「やっばい、、、黒尾先輩のあのサーブで打ちのめされたいー!!」
「いや、それ痛いから!にしても、バレー部って結構派手なんだね。黒髪トサカにモヒカン、金髪プリン頭に、、、あ、銀髪の外人までいる、、、」
「ちょっと、まさか黒髪トサカって黒尾先輩じゃないよね!?音駒バレー部は強いんだよ!?全国とか行ってるし!!」
「へぇー、、、。ねぇ、さっきからあのプリン頭の人全然あの場所動かないよね?なんで?」
同じ場所で返球されてきたボールをただオーバーで上げるだけの、金髪プリン頭の人。猫背のせいか、余計周りより背が低く見える。
私は友人の言う黒尾さんよりも、俄然運動量の少ないプリン頭の人が気になって仕方なかった。
「あれ、3組の孤爪くんじゃん。」
「あんな人いたっけ?」
「うん。なんか大人しいから影薄いけど。バレーやってるなんて意外だよね。」
しばらく観ているうちに、私はある事に気付いた。
(あ、、、このチームの影の司令塔はきっと孤爪くんなんだ。)
しなやかなな身のこなしで拾われるボールは、どれも綺麗に孤爪くんの頭上に返球されているのを見て、私は素人目にそう思った。
ギリギリまでどこに上がるかわからないトスから繰り出されるパワーのあるスパイク。絶妙なタイミングのツーアタック。一試合観きった後には、すっかり彼の虜になっている自分がいた。