第4章 【菅原】星は僕らの心に降り注ぐ。
「ここで待とう」
「、ここで何を待つんだ?」
は持っていたリュックからレジャーシートを出して広げた。
そこにちょこんと座ると空いているとなりをポンポンと叩いて菅原を呼んだ。
「あ、うん、サンキュ」
菅原が座った事を見届けたは自分のスマホへと目を落とす。
「流星群をね、待ってるの」
スマホで時間を確認したあとは菅原へと視線を向ける。
「流星群…?」
「そう、ペルセウス座流星群。今年はね、今日が一番見える日なの」
屋上の一角、徐々に広がっていく夕闇に、そう嬉しそうに答えたの瞳はとても輝いていた。
「………っ、」
それに菅原は一瞬目を奪われる。
高鳴る鼓動を鎮めようとには気付かれないように深呼吸をした。
「は、毎年一人でここで…?」
「烏野に入ってからはそうだね、そのつもりだったんだけど…去年は体調を崩しちゃってね。だから今年はリベンジ!」
「そうだったのか、全然知らなかった…」
「今年でここから観る流星群も最後だ」
楽しそうに話していたがふと切なげな表情を浮かべた。
『今年で最後』その言葉は菅原の胸にも重く響いていた。
インハイ出場の道が絶たれ、残すチャンスは春高のみ。
強い気持ちで残りたいと澤村や東峰に話したけれど迷いがなかったわけじゃなかった。
「菅原…?」
会話が途切れてた事を不思議に思ったは菅原の顔を覗き込む。
「あ、いや…ごめん、ボーっとしてた!えっと…はさ、なんで俺を誘ってくれたんだ?毎年一人で観てたって、さっきさ…」
その時だった、
「菅原…!!きた!ホラ!」
「えっ?えっ?!」
座っていたが突然菅原の手を取って立ち上がる。
暗闇に流れる幾つもの光。
流れては消え、また別の場所で流れ出す。
「……すげー!こんなにちゃんと見たの俺多分初めてだ!………あ、」
突然流れ出した流星群に気を取られ忘れていた、繋がったままの手を思い出す。
自分よりもずっと小さなその手。
「……」
どうするのが正解なのか、わからなくなった菅原はそっと彼女の名を口にした。