第4章 【菅原】星は僕らの心に降り注ぐ。
「ご、ごめん…!驚かせたな」
「私こそ大袈裟に驚いてごめん(笑)菅原は…部活?」
「あぁ、うん」
「そっか、遅くまでお疲れ様」
そう言って笑うに菅原の胸はじんと熱くなる。
『お疲れ様』何気ない言葉だけどに言って貰えた事がこんなにも嬉しいなんて。
「は、ずっとここにいるよな…?誰か待ってんの?」
出来るなら…イエスと言わないで欲しい。
そしてその待ち人が男だったら自分はとんでもなくヘコみそうだ。
「待ってる事には待ってるんだけど…人じゃないの」
「へ?!」
「ふふっ、あ、そうだ…菅原も、その、良かったら一緒に来る…?あ、でも…部活で疲れてるか…」
「…行く!!」
前のめりに答える菅原にはきょとんと目を丸くして、すぐに笑顔を見せた。
「じゃあ東側の昇降口で待ってて、鍵貰ってくる」
「…お、おう?」
人じゃないモノと待ち合わせ、東側の昇降口、鍵。
何にも結び付かないワードたちに菅原は首を捻るがとりあえずに言われた通りの場所へと向かった。
一人を待つ間、澤村にメールを入れた。
でも、用事が出来たから先に帰ってくれ。なんて怪しまれただろうか。
「お待たせ!」
弾んだその声に菅原はスマホをポケットへとしまい込む。
「じゃあ、行こう菅原」
「あのさ、行くって何処へ行くんだ?」
「屋上だよ」
「屋上?」
「うん」
はホラ、と菅原に屋上へ繋がる扉の鍵を見せた。
「今日はね、特別な日なんだ」
が待っている何かが屋上にあると言うのだろうか。
特別だと言うこの日に、同行することを許可された自分は彼女にとって少しは特別なのだろうか。
そう浮かれても、良いのだろうか。
階段を一段一段のぼる度に菅原の心拍数も上がっていく。
誰もいない校内にガチャリと重い音が響き渡り、普段は開くことのない扉が開かれた。