第19章 【北】marble★
「適当に座って。、アイス好きな方選んでええよ。」
お盆の上に乗ってるのは、バニラとチョコチップのカップアイス。正直どっちも好きだけど、今は兎に角、北さんの部屋にいる事への緊張でそれどころやない。
「き、北さんは、どっちがしゅきですか!?」
(あかんーー!勢い余って噛んでしもたーー!!)
「んー、、、バニラ。」
「じゃ、じゃあ私チョコチップで!」
「、、、なぁ、。」
「何ですか!?」
「、、、、緊張しとる?」
私の隣に腰を下ろした北さんが、チラッとだけこちらに視線を向けそう言う。
(バレてる!?家来ただけで緊張してるなんて、めっちゃダサいやん、、、)
せやけど、北さんは自分の彼氏なんやと思うと、そんな恥ずかしい気持ちも正直に言える自分がいた。
「めちゃくちゃ緊張してますよ、、なんて言うか、男の人の家来るの、、、、初めてなんで。」
「、、、俺も。めっちゃ緊張する。」
「嘘ぉ!、、だって北さん、全然表情変わらへんやないですか。」
「嘘やないし。なんや、部活ん時と雰囲気ちゃうしな、、、私服姿とか、初めて見たし。」
確かに言われてみればいつものどっしりとした雰囲気は何処へやら。頭をかいたり、テレビのチャンネルをポチポチ変えたりしてどこか落ち着かない様子だ。
(北さんも緊張したりするんやな、、、それって、私が彼女だからやんな、、、?アカン、、、また顔熱なってきた!)
いまだに北さんが私を好きでいてくれるなんて、夢の中の話みたいだ。
それでも私の頭のてっぺんからゆっくりと髪に滑らす北さんの手が、全て現実なんだと教えてくれる。
サラリと掬い上げられる髪。
次第に近付く顔と顔。
「キスしてもええ?」
数センチの距離で呟かれたその言葉に私が頷くと、ピタリと唇は合わさった。